歌野晶午氏の作『葉桜の季節に君を想うということ』で衝撃を受けて以来、
『さらわれたい女』に続いて3作目。
読書っていうのはドラマや映画のような映像がない分、
脳内で自由にイメージできるのが楽しみのひとつでもあると思うのだけど
その「楽しみ」をうまく操るのが歌野作品。
この「女王様と私」でも操られっぱなしです。
主人公はかなりオタクをこじらせたロリ男。
ツンデレでお兄ちゃん大好きな「妹」の実態はフィギュア。
造詣深い専門分野にはむやみに饒舌であったり
シャツをインしていたり、挙動不審な佇まい、いかにも
「オタク」「喪男」といった主人公の描写に笑ってしまう。
そんな主人公が出会った美しくもドSな女王様。
彼女の周りで起こる殺人事件から彼女を守るために
ロリ男は果たしてヒーローになれるのか!?
どうなるの?なんでだったの?
先の読めない急展開にグイグイ引き込まれる作品。
ネタバレ---------------------------------------------------------------
可笑しくも痛快なミステリーコメディかと思いきや・・・
世界の「神」になったり「切り札」と称する何でもありの
急展開カード、しかも4回までと決めるのも「神」である主人公。
非常識を通りこしてブッ飛んでいる女王様の母親も登場。
すっかりストーリーがゆがんで現実味をなくした
「真藤数馬のめくるめく妄想」という章。
妄想がめくるめいてるのは早い段階で分かっていたつもりなのに
そこまで戻るか!という展開。。。
しかもなかなか後味の悪い終わりなのだけど、
"ネズミ人間"てのはこういう世界に出て来るのかもしれないな
という不気味さを垣間せる作品でした。
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